12/31/12

Conference on Market Quality (2012/11/2) 開催報告

11月2日(金)にウェスティン都ホテル京都で,Conference on Market Qualityが開催されました.

◆ Youngsub Chun (Seoul National University) “Subgroup Additivity in the Queueing Problem”

待ち行列(queueing)とは,何らかの財・サービスを享受するために待つ主体の行列ことです.例えば,病院や生産システム,空港などの設計などがあります.この行列に並ぶような確率的な振る舞いをするシステムの混雑現象を捉える,また効率的なサービス設計を行うような目的のために数理モデルを用いて研究を行っているのが待ち行列理論で,オペレーションズ・リサーチの1分野です.

本研究はその待ち行列のなかでも,特にs-サブ・グループ可算性(s-subgroup additivity)と5つの配分ルールに関する研究です.s-サブ・グループとは本来n人の主体を扱う待ち行列問題を,より少ないs人ずつのサブ・グループの問題を用いて考えます.そして,主体の効用に関して適切な配分ルールを採用することで,n人問題の場合と同じ効用水準が達成できるというものです.

最初にある配分ルールがs-サブ・グループ可算性といくつかの基本公理(queue efficiency,Pareto indifference,equal treatment of equal)を満たす場合に,そのルールは(s+1)-サブ・グループ可算性が満たされることが報告されました.次に,理論的に2-サブ・グループを満たす4つの配分ルールと3-サブ・グループを満たす1つの配分ルールの満たす性質を紹介していただきました.

◆ Takashi Komatsubara (Kyoto University) “Price Competition or Price Leadership“

現実の市場において価格競争が観察されることがあります.一方で,電力会社などのように企業が独占状態にあるような場合,また複数の企業が暗黙的に結託(共謀)しているような状況も観察されることもあります.

しかし現代の多くの文献では,企業は独占力を持つ,あるいは共謀を維持することができないため価格競争を行うと初期設定で仮定されており,なぜ企業が積極的に価格競争を行うのかを理解することは困難です.

本研究では同質財市場において,初期設定ではなく複占企業の積極的な戦略的行動の結果として,価格競争構造が内生的に形成されることを説明することが目的です.供給に対する需要の相対的なサイズがある閾値を越える場合には,両企業は価格リーダーになろうとします.さらに企業間の費用の差がある程度大きい場合に価格競争が生じることが示されます.そうでない場合には,一方の企業は価格リーダーになり,別の企業は価格フォロワーになることが報告されました.

◆ Tadashi Sekiguchi (Kyoto University) “Multimarket Contact under Demand Fluctuations: A Limit Result“

本研究は,需要が不確実である場合にも企業が複数の市場で競争する場合に共謀が起こり易くなることを,無限回繰り返しゲームを用いて示しています.

需要に不確実性がなければ,複数の市場で競争する場合に,共謀が起こり易くなることは以前から知られていました.それに対して,Rotemberg and Saloner (1986)は企業が単一の市場で競争する場合には,需要が不確実なら共謀が起こり難くなることを示し,Bernheim and Whinston (1990)は(需要に不確実性がある場合でも)複数の市場で競争することは共謀を起こり易くする(少なくとも阻止することはない)ことを示しました.

報告では,需要の不確実性と複数の市場における競争という相反する要素が共謀の発生にどのように影響するかが述べられ,主要な結果として企業が競争する市場の数が増えるに従って共謀を阻止する要因は縮小することが報告されました.

◆ Satoshi Mizobata (Kyoto University) “Global Convergence of Russian Emerging Multinational Corporations“

多国籍企業は先進国の企業が途上国の資源と市場機会を求め,途上国がそれらを提供するホストとみなされてきました.しかし,2000年代からBRICsの台頭などから新興国の多国籍企業が注目を集めています.なかでも,ロシアの多国籍企業は多くの経済学者のテーマですが,組織構造という観点からロシアの多国籍企業を研究しているものは多くはないようです.

本研究はロシアの多国籍企業の組織構造に注目し,その発生と発展の前提条件,形成過程,進化と動機を探っています.ロシアは資源に恵まれているため天然資源や,エネルギー,冶金部門などに多国籍企業が多く,またそれらは政府や旧ソ連の遺産,CIS国との関連性が強いという特徴が挙げられます.そのため,特定の資本流出入ルートとその責任構造との強い関係,明確な所有権構造のない多国籍企業と産業構造が存在し,課税回避と危機的状況における政府援助に関して海外事業を利用するなどの特性があるようです.

このような議論から,新興国における多国籍企業理論の修正の必要性,とくにロシア型多国籍企業の存在の重要性が指摘されています.

◆ Andrei Yakovlev (The National Research University) “Industrial Associations as a Channel of Business-Government Interaction in Imperfect Institutional Environment: the Russian Case“

Business Association (BA) がロシアの経済発展に与えた影響についての報告されました.

多くの既存の実証研究ではBAの否定的な側面が指摘されていますが,報告では市場の失敗等の下ではBAが市場を支えるという肯定的な側面について論じられました.さらに次の二つの実証結果が報告されました.一つ目は,輸出や投資に積極的な企業はそうでない企業よりもBAに加入していることが多い.二つ目は,BAに加入している企業はそうでない企業よりも当局との関係が深い.つまり,BAに加入している企業とその地域の当局は互いに援助し合う関係にあるようです.

◆ Byung-Yeon Kim (Seoul National University) “The Political Economy of Private Firms in China“

本研究では,中国共産党との政治的結びつきと民間企業活動の関係を実証的に論じています.

類似の問題を論じている研究は存在するものの,それらは静学的な手法をとっています.本研究は中国の私企業の政治的関係を動学的に論じた最初の研究です.実証結果は次の通りです.起業家が中国共産党員であることでレントを得ているとは言えない.また,起業家が中国共産党員であれば,その企業はそうでない場合に比べて銀行から融資を受け易いものの,企業のパフォーマンス自体は向上しないということが報告されました.

12/28/12

西村和雄:日本学士院会員に選ばれました(2012/12/12)

平成24年12月12日開催の日本学士院第1064回総会において、本プロジェクトメンバーの西村和雄 京都大学経済研究所特任教授・名誉教授が日本学士院会員に選ばれました。
日本学士院は、学術上功績顕著な科学者を優遇するための機関として、学術の発達に寄与するため必要な事業を行うことを目的とするものです。

日本学士院 http://www.japan-acad.go.jp/

◇西村和雄: 京都大学経済研究所特任教授・名誉教授
Prof.Nishimura

氏名 西村和雄
現職等 京都大学名誉教授、京都大学経済研究所特任教授、同志社大学経済学部客員教授
専攻学科目 複雑系経済学・経済変動理論
主要な学術上の業績 西村和雄氏は、複雑系経済学の世界的第一人者として、景気循環や経済変動の研究で先駆的な業績を挙げてきました。独自の数理的手法を用いて、合理的な経済主体の活動の結果として景気循環を説明した研究は、内生的景気循環理論を現代経済学の枠組みの中で構築したものとして、非常に高く評価されています。この成果は、複雑系の理論による経済分析の先駆的業績であり、それ以降も、カオス理論などの応用で内生的景気循環理論を精緻化し、ケインズの「アニマル・スピリッツ」理論に現代的な解釈を与えるなど、国際的に多くの業績を挙げてきました。
 西村氏は現代マクロ経済学の応用可能性を大幅に広げ、その後の発展に多大な影響を与え続けています。(日本学士院ホームページより)

12/21/12

西村和雄:紫綬褒章 受章(2012/11/02)

2012年秋の褒章が発表され,本プロジェクトの西村和雄 京都大学経済研究所特任教授が,学術・芸術分野で活躍した人をたたえる「紫綬褒章」を受賞しました.

◇京都新聞 平成24年11月2日
京都新聞2012年11月2日

◇朝日新聞 平成24年11月2日
朝日新聞2012年11月2日

12/5/12

2012年12月5日15:20-15:40 矢野誠ラジオ出演 

矢野誠先生が本日ラジオに出演されますので、お知らせします。

【本日放送】
Kyoto University Academic Talk
エフエム京都α-Station(89.4MHz)15:20~15:40 (SUNNY SIDE BALCONY 内)
経済研究所教授・矢野 誠
テーマは「経済学とは?&日本経済のこれから」です。

*パソコンからはラジコというサイトからラジオ番組が聴けるようになっております。
http://radiko.jp/#

11/21/12

Conference On Market Quality が開催されました (2012/11/2)

11月2日(金)にウェスティン都ホテル京都で,Conference on Market Qualityが開催されました.

◆ Youngsub Chun (Seoul National University) “Subgroup Additivity in the Queueing Problem”

待ち行列(queueing)とは,何らかの財・サービスを享受するために待つ主体の行列ことです.例えば,病院や生産システム,空港などの設計などがあります.この行列に並ぶような確率的な振る舞いをするシステムの混雑現象を捉える,また効率的なサービス設計を行うような目的のために数理モデルを用いて研究を行っているのが待ち行列理論で,オペレーションズ・リサーチの1分野です.

本研究はその待ち行列のなかでも,特にs-サブ・グループ可算性(s-subgroup additivity)と5つの配分ルールに関する研究です.s-サブ・グループとは本来n人の主体を扱う待ち行列問題を,より少ないs人ずつのサブ・グループの問題を用いて考えます.そして,主体の効用に関して適切な配分ルールを採用することで,n人問題の場合と同じ効用水準が達成できるというものです.

最初にある配分ルールがs-サブ・グループ可算性といくつかの基本公理(queue efficiency,Pareto indifference,equal treatment of equal)を満たす場合に,そのルールは(s+1)-サブ・グループ可算性が満たされることが報告されました.次に,理論的に2-サブ・グループを満たす4つの配分ルールと3-サブ・グループを満たす1つの配分ルールの満たす性質を紹介していただきました.

◆  Takashi Komatsubara (Kyoto University) “Price Competition or Price Leadership“

現実の市場において価格競争が観察されることがあります.一方で,電力会社などのように企業が独占状態にあるような場合,また複数の企業が暗黙的に結託(共謀)しているような状況も観察されることもあります.

しかし現代の多くの文献では,企業は独占力を持つ,あるいは共謀を維持することができないため価格競争を行うと初期設定で仮定されており,なぜ企業が積極的に価格競争を行うのかを理解することは困難です.

本研究では同質財市場において,初期設定ではなく複占企業の積極的な戦略的行動の結果として,価格競争構造が内生的に形成されることを説明することが目的です.供給に対する需要の相対的なサイズがある閾値を越える場合には,両企業は価格リーダーになろうとします.さらに企業間の費用の差がある程度大きい場合に価格競争が生じることが示されます.そうでない場合には,一方の企業は価格リーダーになり,別の企業は価格フォロワーになることが報告されました.

◆ Tadashi Sekiguchi (Kyoto University) “Multimarket Contact under Demand Fluctuations: A Limit Result“

本研究は,需要が不確実である場合にも企業が複数の市場で競争する場合に共謀が起こり易くなることを,無限回繰り返しゲームを用いて示しています.

需要に不確実性がなければ,複数の市場で競争する場合に,共謀が起こり易くなることは以前から知られていました.それに対して,Rotemberg and Saloner (1986)は企業が単一の市場で競争する場合には,需要が不確実なら共謀が起こり難くなることを示し,Bernheim and Whinston (1990)は(需要に不確実性がある場合でも)複数の市場で競争することは共謀を起こり易くする(少なくとも阻止することはない)ことを示しました.

報告では,需要の不確実性と複数の市場における競争という相反する要素が共謀の発生にどのように影響するかが述べられ,主要な結果として企業が競争する市場の数が増えるに従って共謀を阻止する要因は縮小することが報告されました.

◆ Satoshi Mizobata (Kyoto University) “Global Convergence of Russian Emerging Multinational Corporations“

多国籍企業は先進国の企業が途上国の資源と市場機会を求め,途上国がそれらを提供するホストとみなされてきました.しかし,2000年代からBRICsの台頭などから新興国の多国籍企業が注目を集めています.なかでも,ロシアの多国籍企業は多くの経済学者のテーマですが,組織構造という観点からロシアの多国籍企業を研究しているものは多くはないようです.

本研究はロシアの多国籍企業の組織構造に注目し,その発生と発展の前提条件,形成過程,進化と動機を探っています.ロシアは資源に恵まれているため天然資源や,エネルギー,冶金部門などに多国籍企業が多く,またそれらは政府や旧ソ連の遺産,CIS国との関連性が強いという特徴が挙げられます.そのため,特定の資本流出入ルートとその責任構造との強い関係,明確な所有権構造のない多国籍企業と産業構造が存在し,課税回避と危機的状況における政府援助に関して海外事業を利用するなどの特性があるようです.

このような議論から,新興国における多国籍企業理論の修正の必要性,とくにロシア型多国籍企業の存在の重要性が指摘されています.

◆ Andrei Yakovlev (The National Research University) “Industrial Associations as a Channel of Business-Government Interaction in Imperfect Institutional Environment: the Russian Case“

Business Association (BA) がロシアの経済発展に与えた影響についての報告されました.

多くの既存の実証研究ではBAの否定的な側面が指摘されていますが,報告では市場の失敗等の下ではBAが市場を支えるという肯定的な側面について論じられました.さらに次の二つの実証結果が報告されました.一つ目は,輸出や投資に積極的な企業はそうでない企業よりもBAに加入していることが多い.二つ目は,BAに加入している企業はそうでない企業よりも当局との関係が深い.つまり,BAに加入している企業とその地域の当局は互いに援助し合う関係にあるようです.

◆ Byung-Yeon Kim (Seoul National University) “The Political Economy of Private Firms in China“

本研究では,中国共産党との政治的結びつきと民間企業活動の関係を実証的に論じています.

類似の問題を論じている研究は存在するものの,それらは静学的な手法をとっています.本研究は中国の私企業の政治的関係を動学的に論じた最初の研究です.実証結果は次の通りです.起業家が中国共産党員であることでレントを得ているとは言えない.また,起業家が中国共産党員であれば,その企業はそうでない場合に比べて銀行から融資を受け易いものの,企業のパフォーマンス自体は向上しないということが報告されました.

11/14/12

シンポジウム「過去の文明・今日の文化の課題」(2012/10/20)開催報告

2012年10月20日には、前日開催されたサンタフェ・京都シンポジウムの関連企画・特別レクチャーとして、京都大学総合博物館の講演室とロビーにおいて、「過去の文明・今日の文化の課題 マヤ文明とモンゴルを例として」が開催されました。

大野照文総合博物館館長の挨拶の後、考古学者のジェリー・サブロフ サンタフェ研究所所長が「マヤ文明の衰退から何を学ぶか」について、そして茨城大学の青山和夫教授が「マヤ文明の起源を求めて:セイバル遺跡の再調査」と題して講演を行いました。

続いて、サブロフ所長の夫人で政治考古学の研究者、そしてモンゴルの専門家でもあるポーラ・サブロフ サンタフェ研究所教授が、「モンゴルにおける封建主義から民主主義」と題して講演を行いました。

最後に、加藤美典さんによりモンゴルの伝統楽器、馬頭琴の演奏が行われ、美しい音色が、一般より来館された多数の参加者の心を魅了し、特別企画は成功裏に終了しました。

(記事:青木隆明)

サンタ・フェ/京都シンポジウム・特別レクチャー「過去の文明・今日の文化の課題 ~マヤ文明とモンゴルを例として~
2012/10/20
日時:平成24年10月20日(土)場所:京都大学総合博物館・講演室とロビー
プログラム
13:00~13:10
開会挨拶:大野照文(総合博物館館長)
13:10~14:30
ジェリー・サバロフ(サンタフェ研究所所長)
「マヤ文明の衰退から何を学ぶか」
14:30~15:10
青山和夫(茨城大学教授)
「マヤ文明の起源を求めて:セイバル遺跡の再調査」
15:25~16:45
ポーラ・サバロフ(サンタフェ研究所教授)
「モンゴルにおける封建主義から民主主義」
16:45~17:15
加藤美典
モンゴルの伝統楽器馬頭琴の演奏
17:15~19:00
懇親会

★ポスター (PDF/272KB)
主催:統合複雑系科学国際研究ユニット・京都大学総合博物館・平成24年度統合地球環境研究所インキュベーション研究(IS)グローバリゼーションを終わらせる「新時代の生き方作法」リテラシーの構築-新京都(みやこ)モデルの提案―チーム後援:京都大学経済研究所

11/14/12

サンタフェ/京都 シンポジウム “複雑系科学への招待” (2012/10/19) 開催報告

2012年10月19日 (金)の午後1時より、京都大学理学研究科セミナーハウスにおいて、「サンタフェ・京都 シンポジウム “複雑系科学への招待”」が、京都大学学際融合教育研究推進センター統合複雑系科学国際研究ユニットと経済研究所の共催で、下記のプログラムで開催されました。

淡路敏之 京都大学理事、そして中村佳正 学際融合教育研究推進センター長による挨拶の後、サンタフェ研究所のジェリー・サブロフ所長が、サンタフェ研究所の紹介と複雑系適応システムの研究についての講演をされました。サブロフ所長は考古学者で、マヤ文明の研究者でもあります。

続いて、京都大学の複雑系研究を担う第一線の研究者の方々より、様々な分野から最新の研究動向について発表がされました。まず物理化学分野を代表して工学系研究科の岡二三生教授が、X線CTを用いた局所変形土砂の可視化について、そして化学研究所の渡辺宏教授が高分子ポリマーの分子運動の複雑性と単純性についての研究発表を行いました。

続くセクションでは、工学系研究科の小林哲生教授が“意識”の脳内メカニズムを探る鍵としての両眼競合について、そして生態学研究センターの山内淳教授が発展的協調ゲームにおけるペイオフとダイナミクスの関係についての発表をおこないました。

最後に、総合博物館の大野照文館長が大学博物館の立場から人文科学と自然科学の融合について、そして経済研究所の三野和雄教授が世界経済におけるサンスポット・景気循環についての講演をおこないました。

複雑系研究を志す様々な専門分野の学生、研究者、そして一般の方々が多数参加され、当初のスケジュールが大幅に延びるほどの質問が寄せられ、熱気と盛況のうちにシンポジウムは終了しました。

(記事:青木隆明)

サンタフェ/京都 シンポジウム “複雑系科学への招待”
2012/10/19
日時:平成24年10月19日(金)場所:京都大学理学研究科セミナーハウス
プログラム
13:00~13:10
挨拶:
淡路 敏之 (京都大学理事)
中村 佳正(学際融合教育研究推進センター長)
座長:村瀬 雅俊(京都大学基礎物理学研究所)
13:10~13:50
ジェリー・サバロフ(Santa Fe 研究所)
“The Santa Fe Institute and the Study of Complex Adaptive Systems“

座長: 杉山 弘(京都大学大学院理学研究科)
13:55~14:25
岡 二三生(京都大学大学院工学研究科)
“Visualization of localized deformation of unsaturated sand using micro-focus X-ray CT and stability during infiltration“

14:25~14:55
渡辺 宏(京都大学化学研究所)
“Complexity and Simplicity in Polymer Dynamics“

座長: 福山 秀直(京都大学大学院医学研究科高次脳機能総合研究センター)
15:05~15:35
小林 哲生(京都大学大学院工学研究科)
“Binocular Rivalry: A key phenomenon to explore brain mechanisms of consciousness“

15:35~16:05
山内 淳(京都大学生態学研究センター)
“Relationship between payoff function and evolutionary dynamics in evolutionary cooperative game“

座長: 吉村 一良(京都大学大学院理学研究科)
16:15~16:45
大野 照文(京都大学総合博物館)
“Reunion of human and natural science: a view from university museum“

16:45~17:15
三野 和雄(京都大学経済研究所)
“Sunspot-Driven Business Cycles in a Global Economy“

★ポスター (PDF/338KB)
主催:京都大学学際融合教育研究推進センター統合複雑系科学国際研究ユニット/京都大学経済研究所

10/29/12

Market Quality Research Project Workshop “Global Economy In Turmoil” (2012/10/14)開催報告

秋らしい涼しさがようやく感じられるようになった10月14日,千葉経済大学にて,Market Quality Research Project Workshop “Global Economy In Turmoil”が,IEFS Japan,先端経済理論の国際的共同研究拠点,本プロジェクトにより開催されました.
Global Economy in Turmoilと題した本会では,国内外からお招きした7名の先生方に研究報告をしていただき,市場の質をキーワードに,介護や環境といった現代の諸問題に関する経済学的な検討を行いました.

◇Hiroshi Fujiu: “Two-Sided Transfers from Adult Children of Elderly Persons”
Prof.Fujiu

藤生裕先生は,介護を受ける老人とその子であり介護を行う成人の関係だけでなく,既存の研究ではあまり注目を集めていなかった,成人とその子の関係が老人介護に与える影響についての報告をされました. 実証的にも,命題がデータと整合的であったことも合わせて報告されました.

◇Fumio Dei: “Discrete Demand Shift Dumping”
Prof.Dei

出井文男先生は, 2国の貿易のモデルを用いて安すぎる海外製品の参入によって輸入国の厚生が低下する可能性を指摘されました.さらに,データを用いて裏付け結果を示されました.会場からは様々な論点が提供され,活発な議論が行われました.

◇Jiawei Chen: “How Do Switching Costs Affect Market Concentration and Prices in Network Industries?”
Prof.Chen

Jiawei Chen先生は,消費者が企業間を移行する際に発生するスイッチングコストや外部オプションの質との関係等を分析し,ロックインされた消費者の行動について報告されました.また,得られた結果は今後のネットワーク産業に関する政策的含意に富んだものであると指摘されました.

◇James R. Markusen: “Per-Capita Income as a Determinant of Cooperative and Non-Cooperative International Trade Policy”
Prof.Markusen

James R. Markusen先生は,環境の質の改善のための費用負担に関して途上国が優遇される理由を,利他精神によってではなく,国民の生産性が異なる2国のモデルを用いて,経済学的に説明されました.

◇Hodaka Morita: “Choice of Product Architecture and Labor Turnover”
Prof.Morita

Hodaka Morita先生は,製品開発においてどのような性質のアーキテクチャを採用するのが望ましいかを, 消費者の製品品質に対する選好を考慮したうえで分析した理論的結果を実証的結果と合わせて報告されました.

◇Rui Ota: “‘Law of Rising Price’ in an Imperfectly Competitive Declining Industry”
Prof.Ota

太田塁先生は,衰退産業において需要減少に伴い需要曲線が時計回りにシフトすることでU字型の平均費用曲線を持つ企業の製品価格が上昇するというメカニズムを理論的に説明されました.さらに,データを用いた実証結果を示され,一部地域でこの理論を支持する結果が得られたことが報告されました.

◇Makoto Yano: “Price Competition or Price Leadership”
conference

矢野誠先生は,現代の経済学において,良い市場を,高質な財が高価で低質な財が安価で共に取引される,より効率的な市場と定義し, そのような市場で実現される望ましい価格のあり方を検討していくための足掛かりを提示されました.

time Speaker Title
9:50-10:05 Hiroshi Fujiu and Makoto Yano
Opening Address
10:05-10:50 Hiroshi Fujiu
Chiba Keizai University Two-Sided Transfers from Adult Children of Elderly Persons
11:00-11:45 Fumio Dei
Kobe University Discrete Demand Shift Dumping
13:00-13:45 Jiawei Chen
UC Irvine How Do Switching Costs Affect Market Concentration and Prices in Network Industries?
13:55-14:40 James R. Markusen
University of Colorado, Boulder Per-Capita Income as a Determinant of Cooperative and Non-Cooperative International Trade Policy
14:50-15:35 Hodaka Morita
Australian School of Business, UNSW Choice of Product Architecture and Labor Turnover
15:55-16:40 Rui Ota
Chiba Keizai University ‘Law of Rising Price’ in an Imperfectly Competitive Declining Industry
16:50-17:35 Makoto Yano
Kyoto University Price Competition or Price Leadership

10/24/12

“Conference on Market Quality” (2012/11/2)

本プロジェクト共催の”Conference on Market Quality” を以下のとおり開催いたします。
Conference on Market Quality
2012/11/2
日時:平成24年11月2日(金)場所:ウェスティン都ホテル京都
プログラム
10:00~17:20
Opening address:
Chair: Makoto Yano(Kyoto University)
10:10~13:00
Youngsub Chun (Seoul National University)
“Subgroup Additivity in the Queueing Problem“

Takashi Komatsubara (Kyoto University)
“Price Competition or Price Leadership“

Tadashi Sekiguchi (Kyoto University)
“Multimarket Contact under Demand Fluctuations: A Limit Result“

Chair: Ichiro Iwasaki (Hitotsubashi University)
14:30~17:20
Satoshi Mizobata (Kyoto University)
“Global Convergence of Russian Emerging Multinational Corporations“

Andrei Yakovlev (The National Research University)
“Industrial Associations as a Channel of Business-Government Interaction in Imperfect Institutional Environment: the Russian Case“

Byung-Yeon Kim (Seoul National University)
“The Political Economy of Private Firms in China“

★ポスター(容量:52KB)
Organized by:Kyoto University Institute of Economic Research
Sponsored by:KIER Foundation
JSPS Grant-in-Aid for Specially Promoted Research #23000001
お問い合わせ先:京都大学経済研究所 矢野誠研究室 075-753-7185