Yano’s Opinion

  • 「日の丸ジェット」,運航の形式証明の取得コストの結果,断念 (2/8/2023)

    ついえた「日の丸ジェット」 露呈したノウハウ不足
    2/8(水) 7:09配信,  Jiji.com

    という記事を読みました.これから大規模な技術革新に従事していかなくてはならない日本にとっては大変残念なことです.開発失敗の原因として,『一定の水準の機体を開発できた」といい、技術面での成果があったことも強調。しかし、運航に必要な型式証明の取得手続きに関する理解や経験が不足し、子会社の三菱航空機は商用化にこぎ着けることができなかった』ということが協調されています.このような問題が起きるのは,アメリカやヨーロッパの規制の基準を我が国の政府や企業がきちんと理解していないところからきているのではないかと思います.

    私は数年まえ,本領崇一さんとの共同研究 Idiosyncratic Information and Vague Communication  (American Political Science Review, 2021) を執筆する最中に,ボーイング737の事故との関連で,アメリカやヨーロッパの事故調査基準や手順を詳しく勉強したことがあります.それだけでも,素人には大変な手間だったのですが,民間航空産業を支える規制が大変に複雑で難しいことがわかりました.航空関連でなくても,安全基準にかかわる規制をクリアするための時間と労力は大変なものがあります.

    今回の件は,事故とは直接関係ないのですが,アメリカやヨーロッパの規制をクリアするためのノーハウの蓄積が極めて大切なことを教えてくれます.技術面ではよくできたが,形式証明の手続きが難しすぎたという現象は我が国が長年にわたって抱えてきた問題です.技術を作ることに目が行き,技術の使い方の研究に十分な予算をかけていない,もっと広く言うと,理系偏重の予算編成となり,文系的要素に十分な予算(人や資源)が使われていない結果と思います.

    私が政府ならば,そうした規制を通すために必要な調査研究に,大規模な予算をつけたいところと感じます.

  • 市場の質理論の基礎 (1/11/2023)

    市場の質理論の理論的基礎を形づくるYano and Furukawa論文が Proceedings of the National Academy of Sciences (PNAS)にアクセプトされました.内容については,後日,詳細な記事をつくりますので,それまでお待ちください.現状は,Embergo 期間で,記者発表などをしてはいけないとPNASから言われています.

  • 活動再開 (1/11/2023)

    新年おめでとうございます.2022年いっぱいでRIETIを退職しました.在職中はいろいろお世話になりありがとうございました.自分を縛る組織がなくなり,1980以前(学生時代)に戻りました.これはこれで変な気分ですね.今年から,また,このサイトでの活動を再開します.よろしくお願いします.

  • 公正な労働市場 (9/3/2012)

    私が主張している競争の公正性をうまくつかまえた記事だと思います.現代の経営者も見習うべきでしょう.

    Not only was it a matter of social justice, Ford wrote, but paying high wages was also smart business. When wages are low, uncertainty dogs the marketplace and growth is weak. But when pay is high and steady, Ford asserted, business is more secure because workers earn enough to become good customers. They can afford to buy Model Ts.

    http://www.nytimes.com/2012/09/03/opinion/henry-ford-when-capitalists-cared.html?emc=eta1

  • 上位互換技術の開発の重要性について (9/3/2012)

    以前,下位互換技術の開発に特化したことが,失われた20年の期間の失敗の大きな要因だといったことがあります.以下の記事にも,上位互換技術の重要性が示されていると思います.

    http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20090327/167888/

  • 漁業と市場の質 (8/14/2012)

    片野 歩氏 (株式会社マルハニチロ水産)の以下の三つの記事は,市場の質,を考えるうえで必読の文章と思いました.みなさんもぜひご覧になってください.

    http://wedge.ismedia.jp/articles/-/1880?page=4

    http://wedge.ismedia.jp/articles/-/1990

    http://wedge.ismedia.jp/articles/-/2067

  • Market Quality In Financial Sector (7/3/2012)

    この記事は現在の金融市場の質の問題をよくとらえていると思います. http://www.nytimes.com/2012/07/03/opinion/rigged-rates-rigged-markets.html?_r=1&hp

  • 我が国の現状について (6/12/2012)

    非常に興味深い調査結果がのっています.高質な市場は,この調査が示すような状態のときにこそ必要だと思います.(前半は原発の話もそうですが,後半の意識調査のほうはもっと興味深いと思いました.)ぜひ見てください.

    http://www.pewglobal.org/2012/06/05/japanese-wary-of-nuclear-energy/

  • 日本の国際化について (6/12/2012)

    わたしの友人から,以下の記事を送ってもらいました.

    TheNewYorkTimes 20120530

    若干の誇張があるのかまったくこの通りなのかどうかについては(私の希望も含めて)確信が持てませんが、この英語ベースのグローバル時代にあって、このような記事がでてくること自体が、日本の現状を象徴していると思いました.読者のコメントはとても印象的です。ちょっと出来過ぎな感すらありますが、これが世界のみなさんの感覚の、少なくとも、一端を表しているのは事実と思います。

  • Quantitative Easing では経済はよくならないと思います (6/7/2012)

    online.wsj.com

    QEはうまくいかないだろうというのは,ずっと以前から私が主張してきたことです.最近では,私と同じ考えの人が増えているようです.

    money.msn.com

    世界の金融市場が各国の政府の政策の予想の場になっているのも,QE政策の結果ではないかとみることもできます.